倦怠感・疲れやすい
倦怠感は、体が何かを
伝えようとしているサイン?
倦怠感とは、だるさや疲れを感じる状態です。倦怠感は体が何かを伝えたいというサインの可能性があります。倦怠感は病気の兆候であることもあれば、過労や睡眠不足、不規則な食事、職場や対人関係のストレスなど、病気以外の要因で生じることもあります。健康を保つためには適切な休息が必要であり、十分な休息をとらないと、体および脳から倦怠感という形で反応を示すことがあります。
倦怠感とは何か?
倦怠感は、疲れが溜まり続けていたり、だるさを感じたりしているなど、日々の活動に必要なエネルギーや気力が不足している状態を指します。この感覚が長引くと、生活の質が大きく損なわれる恐れがあります。また、倦怠感は単に肉体的な側面だけでなく、精神的な側面にも密接に関わっています。
倦怠感の症状
倦怠感には、肉体的な疲れから意欲低下まで、多様な症状が起こります。集中力の散漫や頭痛、食欲減退なども珍しくありません。これらの症状は、患者様の健康状態や生活習慣によって異なる場合があります。例えば、長時間労働や勉強による過労、不規則な睡眠は、集中力の散漫や継続的な疲労をもたらすことがあります。
心理的な面では、意欲低下、活動に対するエネルギーの低下、何事も面倒に感じるといった症状がみられることがあります。これらは、うつ病や不安障害といった精神疾患と関連があることも少なくありません。
倦怠感の原因
倦怠感はしばしば、過労やストレス、睡眠不足によって引き起こされます。長時間労働や精神的なストレス、睡眠不足などがあると体の回復力が弱まり、倦怠感をもたらすことがあります。栄養不良や風邪、インフルエンザなどの身体的な病気も、倦怠感を引き起こす原因になることがあります。特にストレスは免疫力を低下させ、様々な健康問題のリスクを増加させます。
さらに、不規則な生活習慣も倦怠感を引き起こす主な要因です。不規則な食習慣や運動不足、過度なアルコール摂取は、体のエネルギー代謝に乱れをきたし、倦怠感の原因となる恐れがあります。
倦怠感の対策と治療
適切な休息と睡眠
まずは適切な休息と睡眠をとることが重要です。必要な睡眠時間は患者様によって変わりますが、通常は7~8時間が望ましいとされています。質の高い睡眠を得るためには、就寝前にリラックスできる時間を確保する、適度な運動、カフェインの摂取を控えるなどの対策をとることが効果的です。
休息と睡眠は、体と心を再活性化させ、次の日の活動に必要なエネルギーを補うのに重要です。また、睡眠は記憶の整理や学習の効率を向上させる重要な役割を担います。
栄養バランスの良い食事
「バランスの取れた食事」とは、炭水化物や脂肪、タンパク質、ビタミン、ミネラルを適切な割合で摂取することです。栄養バランスの取れた食事はエネルギー源でもあり、栄養は体力を回復させることに役立ちます。特にビタミンB群やビタミンC、鉄分は疲労を回復させることに有効です。
必要な栄養素を食事から摂取することで、体のエネルギー生成や機能の維持、改善が可能になります。また、食事を規則正しく摂ると、日々の活動エネルギーが確保され、血糖値を安定させることができます。これにより、エネルギー不足とそれに伴う倦怠感を防ぐことができます。
適度な運動
倦怠感を和らげる対策として、適度な運動を行うこともお勧めです。運動によって心臓と肺の機能が向上し、エネルギーの代謝が促進され、ストレスホルモンが減少します。
さらに、運動による適度な疲労は、より良い睡眠を促す効果もあります。
運動を開始する際には、ご自身の健康状態や運動経験を考慮し、無理なく始めることが大切です。ウォーキングやストレッチ、ヨガなどの軽度の運動からスタートし、徐々に強度や持続時間を延ばしていきましょう。
倦怠感を持続的に感じる場合の対応
もし上記の対策を試しても倦怠感が続く、または悪化するようであれば、専門家に相談しましょう。倦怠感は感染症、貧血、糖尿病、心臓病、肝臓病、腎臓病、がん、自己免疫疾患、甲状腺や副腎のホルモン異常、睡眠時無呼吸症候群、うつ病などの精神疾患によって引き起こされることがあります。そのため倦怠感でお悩みの場合は、適切な診断と治療を受けることが望ましいです。
特に、精神的な倦怠感やうつ病が疑われる場合は、専門家の助けを求めることが大切です。以下のような症状がみられる場合は、受診が必要です。
持続的な疼痛
何らかの病気によって、頭痛や胸痛、腹痛、関節痛などを起こしていることもあります。
高熱
体が感染症と戦っていたり自己免疫疾患や悪性腫瘍を発症したりしているサインにもなります。
呼吸困難
循環器や呼吸器系の疾患の症状として、息苦しさや息切れ、胸の圧迫感などが出ていることもあります。
体重の急激な変化
食欲不振または異常な食欲に悩まされていて、かつ体重が急に減ったり増えたりしている場合は、ホルモンの異常や悪性腫瘍が疑われます。
精神的な症状
うつ病や不安、極度のストレスなどがあれば、心療内科や精神科へ相談することを推奨します。
意識の混濁
思考がぼんやりしたり集中力が低下したり、意識が不明瞭だったりする場合は、深刻な問題が隠れている可能性もあります。
めまい、立ちくらみ
めまいや立ちくらみが頻繁に起こる場合、血圧の問題、貧血、心疾患が隠れている可能性があります。
皮膚や目の黄色み
皮膚や目の黄色さがみられる場合、肝臓の問題(黄疸)が隠れている可能性があります。
これらの症状は、単なる疲れやストレスによる一時的な倦怠感とは異なり、何らかの疾患が体に影響を及ぼしていることを示している場合があります。無理をせず、自分の体と心の声に注意を払うことが重要です。
まとめ
過労やストレス、睡眠不足、そして不規則な生活習慣は、倦怠感を引き起こす原因になります。これらが蓄積されると、身体的および精神的な疲れが増し、日常生活に支障をきたすこともあります。
適切な休息、十分な睡眠、栄養バランスの取れた食事、適度な運動によって、倦怠感は軽減されることが多いです。
それでも倦怠感が持続する場合や症状が悪化する場合は、受診しましょう。ご自身の体と心に注意を払い、健康的な生活習慣を実践することで、倦怠感を乗り越え、充実した生活を送りましょう。
むくみ(浮腫)
むくみ(浮腫)とは
むくみ(浮腫)とは、体の皮下組織に余分な水分が蓄積する状態です。これは過剰な塩分摂取や長時間同じ体勢を保つ習慣などで起こりますが、時にはより深刻な健康問題の兆候としても現れます。例えば、心不全を含む重大な疾患が原因でむくみが生じることもあります。もし、むくみが持続する場合は、迅速に受診してください。
むくみ(浮腫)の症状
以下のような症状が持続している場合は、速やかに医師の診察を受けることをお勧めします。
- むくみが何日も続いて解消しない、
しわがない - 足の血管がボコボコと浮き出てきた
- 足が痛い
- 足がつりやすい
- 急に体重が増えた
- 顔やまぶたがむくむ
- 足首やスネを指で押すと凹んでなかなか
戻らない - 尿量が少ない
- 坂道や階段で息切れする
- 疲れやすい
など
むくみ(浮腫)の原因
むくみは心臓や腎臓の病気など、病気のサインとして現れることもあります。
また、食習慣などによって起こるケースもあります。
心臓の障害
心臓の機能が衰えて心不全を起こし、心臓のポンプ機能が衰えると、血液が組織に滞留してむくみを引き起こすことがあります。
また、心不全以外の心疾患によってむくみが生じることもあります。
肝臓の障害
肝臓の障害が悪化し肝硬変に進行すると、肝臓内にあるタンパク質であるアルブミンの合成が減少します。アルブミンは血管の中の水分をコントロールする働きをしており、浸透圧を調整するのに必要な存在です。アルブミンが減ると血管内の水分を適切に保つことが難しくなります。その結果として、むくみが発生することがあります。
腎臓の障害
腎臓は、水分や余分な物質を尿として体の外に出す役割を担っています。そのため腎臓の機能が障害されて腎不全を引き起こすと、体内に水分や塩分が溜まりやすくなります。その結果、むくみが生じます。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症によるむくみは、通常のむくみとは異なり、体の代謝速度が遅れることで組織間に「粘性を持つむくみ」が発生します。甲状腺ホルモンが不足すると、エネルギー消費が減り、タンパク質や脂質の代謝が遅れます。特にムコ多糖類の代謝が遅れると、これらが組織間に蓄積し、水分を吸収して膨らむためにむくみが生じます。
このタイプのむくみは顔や四肢によくみられ、押すとすぐには戻らない特徴があります。
リンパのむくみ
リンパ液の流れが滞ると四肢にむくみが現れることがあります。これはリンパ管の障害によるものです。がんの手術後にみられることが多く、手術直後だけでなく、術後長期間経過してからもむくみが出現するケースもあります。
下肢静脈瘤
ふくらはぎの筋肉は足にある血液を心臓まで戻すポンプ機能を果たしています。この働きからふくらはぎの筋肉は「第二の心臓」とも言われています。
足の静脈には、血液の逆流を防ぐために静脈弁が存在します。この弁が損傷すると、血液がスムーズに戻らず、静脈が瘤状に膨れ上がります。これが下肢静脈瘤です。下肢静脈瘤を発症すると、血管がクモの巣のように浮いて見えることもあります。
深部静脈血栓症
(エコノミークラス症候群)
長時間同じ姿勢で座り続けると、足の静脈内に血栓ができるリスクが高くなります。血栓ができると、血液の心臓への戻りが悪くなり、足にむくみが生じます。
さらに、この血栓が肺の血管を塞ぐ肺塞栓症を引き起こすこともあり、これによって命を落としてしまう方もいます。
薬によるむくみ
薬の副作用としてむくみが発生することがあります。特に、高血圧の治療に用いられるアムロジピンによってむくみが出るケースは決して珍しくありません。
生活習慣が関わるむくみ
同じ姿勢で長時間過ごす
ふくらはぎは、足の血液を心臓へと送り返すポンプ機能を果たしています。立ち仕事、長時間のデスクワーク、あるいは長距離の飛行機やバスでの移動時に同じ姿勢を続けると、ふくらはぎの活動は低下します。
この活動の低下によって足に血液が溜まり、むくみが発生することがあります。また、このような状態は下肢静脈瘤の発生リスクを高めるため、注意が必要です。
運動不足・過度なダイエットによる筋力の低下
ふくらはぎの筋肉が弱まると、足から心臓への血液循環が効率よく行われず、結果としてむくみが発生することがあります。
過剰な塩分摂取
塩分を過剰に摂ると、体は塩分の濃度を希釈するために多くの水を取り込みます。これがむくみの原因となります。さらに、塩分には水を保持する特性があり、これが体内での水分の排出を困難にし、むくみをさらに促進することがあります。
過剰なアルコール摂取
アルコールは血管内の脱水を促し、体の水分量を減らして血液の濃度を高める原因になります。体はこの脱水状態を正常化しようと血管内に水分を引き寄せますが、この過程で生じる余分な水分がむくみを起こす要因となることがあります。
むくみ(浮腫)の検査
血液検査
腎機能、肝機能、アルブミンレベル、甲状腺ホルモンなどの数値をチェックすることが可能です。また、心不全を示すマーカーであるBNPの測定も行われます。さらに、D-ダイマーという血栓の指標を用いて、静脈血栓症の存在を検出することも可能です。
尿検査
腎機能障害が悪化すると、尿の中にアルブミンが含まれます。このアルブミンの有無をチェックするために行われます。
胸部X線検査
心臓のサイズや心拡大がないかを確認できる検査です。また、肺のうっ血や胸水の存在も検出できます。
心臓超音波検査
心臓のサイズや動き、形状などを詳しく調べて心不全の原因を特定します。血管超音波検査では、血流の状態や血栓がないか、血管の肥厚などがチェックできます。
むくみ(浮腫)の治療
むくみを引き起こす原因の病気が見つかった際には、その病気に対応した治療を開始します。体に溜まった過剰な水分によってむくみを起こしている場合は、利尿剤を用いて水分の排出を促します。また薬を用いた治療の他にも、日常生活の習慣を見直して改善することも不可欠です。
マッサージとストレッチ
心臓への血液循環を促進するためには、ふくらはぎへの優しいマッサージが有効です。このようなマッサージは、ふくらはぎの筋肉を活性化させ、血流を促し、むくみを減少させることに役立ちます。また、リンパの流れも同様に改善されます。
さらに、ストレッチはふくらはぎの筋肉を柔らかくし、血行を良くすることにも有効です。特に腓腹筋やヒラメ筋などの筋肉は念入りにストレッチすると、血行が改善されやすくなります。ただし、マッサージやストレッチ中に痛みや不快感を感じたら、無理をせずにやめるようにしましょう。
食事
塩分を含む食品の摂取は控えめにしましょう。ハムやソーセージ、干し物、漬け物、インスタント食品、スナック菓子などは塩分が過剰なため、これらの食品の摂取量を減らすことが大切です。その代わりに、新鮮な野菜や果物、低塩の調味料を使ったバランスの良い食事を意識しましょう。
運動
長時間のデスクワークで同じ姿勢が続くと、ふくらはぎの活動が制限されます。定期的に休憩を取り、歩く時間を作ることが重要です。
ふくらはぎのストレッチは血流を促進し、むくみを軽減することに役立ちます。特に腓腹筋やヒラメ筋を意識してストレッチしてみると、血の流れが良くなりやすくなります。
座ったままでもかかとの上げ下げ運動をすると、ふくらはぎの血流が改善できます。
弾性ストッキングの使用
弾性ストッキングは足に適切な圧力を加えることで、むくみを緩和する効果があります。特に、弁不全を持つ方や下肢静脈血栓を予防したい方に有効です。
ただし、適切な着用方法が重要であり、誤った使用は血行不良を招く可能性があるため、使用前には医師の指導を受けることが望ましいです。
体重増加
体重増加とは
食べ過ぎ、水分の過剰摂取、代謝異常、薬の副作用、心臓や血管の病気など、多くの原因によって起こり得ます。急な体重増加は、健康に対するリスクや隠れた病気のサインの可能性があるため、早めに医師の診断を受けることが推奨されます。
体重増加の症状
生活習慣や食習慣を変えていないのにもかかわらず、体重が数週間~数ヶ月のうちに急増することがあります。体(特に手足)のむくみが顕著になり、靴や指輪が合わなくなることもあります。息苦しさや息切れ、全身のだるさ、疲れ、心拍数の増加などの症状が伴うこともあります。
これらの症状がみられる場合は、医師の診察を受け、原因を突き止め、適切な治療を行うことが重要です。
体重増加の原因
過食や摂取カロリーの増加
摂取するカロリーが消費するカロリーより多い場合、体重は急激に増えることがあります。特に、食事量が増えたり、高カロリー食品を頻繁に摂取したりすると、この傾向が顕著になります。
水分の蓄積
むくみや体内の水分のバランスによって、体重が突然増加することもあります。これは、心臓や腎臓の疾患である心不全、腎不全、またはホルモンバランスの乱れ、薬の副作用によって引き起こされることがあります。
ホルモンの変化
甲状腺ホルモンの異常や副腎皮質ホルモンの過剰分泌、インスリンの分泌異常などによって、体重が増えてしまうケースもあります。
薬の副作用
薬の中には、副作用として体重が増えてしまうものもあります。特に、抗精神病薬や抗うつ薬、ステロイド薬は食欲を増進させたり、体の代謝に変化をもたらしたりします。そのため、これらを服用されている方はそうでない方よりも体重が増えやすいです。
妊娠
妊娠期間中は、赤ちゃんが成長したり必要な体液量が増えたりすることによって、体重が一気に増える傾向があります。これは妊娠中の方なら誰にでも起こり得て、多くの場合、出産後に体重が元に戻ります。
体重増加の検査
身体検査
身長と体重を測定し、BMI(体格指数)を算出します。また、体のむくみや腹部の膨張などの異常をチェックします。
血液検査
血中の脂質、血糖値、甲状腺ホルモン、腎機能指標を測定します。これにより、代謝や内分泌系の異常がないかを調べます。
尿検査
尿中のタンパク質、糖、電解質の異常がないかを調べます。
心臓検査
心電図や心エコー検査を行い、心臓の機能や心不全がないかをチェックします。
画像検査
MRIやCTスキャンなどの画像検査を必要に応じて実施し、内臓の状態や異常を検出します。
高度な検査が必要な場合は、専門の医療機関へご紹介します。
ホルモン検査
ホルモン異常の可能性が高い場合は、血液中のホルモンを測定します。
体重増加の治療
食事
バランスの良い食事を意識し、主食、タンパク質、野菜、果物を適切に摂取しましょう。
カロリーの摂取量を管理し、摂りすぎないように気を付けましょう。
運動
有酸素運動でカロリーを消費したり脂肪を燃焼させたり、筋力トレーニングで基礎代謝を高めたりしていきながら「太りにくい体」を作っていきましょう。まずは楽しんで続けられる運動方法を選び、適切な運動量を心がけましょう。
今まで運動する習慣があまりなかった方は、ウォーキングや軽いジョギング、体操、ストレッチなどから始めると良いでしょう。
薬物療法
場合によっては、食欲を抑えたり脂肪の吸収を減らしたりする薬が処方されることがあります。
基礎疾患の治療
特定の病気によって体重が増えていた場合は、その疾患に対する治療が行われます。甲状腺機能の異常やホルモンバランスの不調に対して、薬物療法や手術を選択することがあります。
心血管治療
心臓や血管系の異常によって体重が増えていた場合は、心疾患や高血圧の治療が必要になります。薬物療法や手術などを行うこともあります。